夫婦で遺言書を作るには

ご夫婦で遺言書を作成する場合、それぞれ別の遺言書を作る必要があります。
同一証書に２人の遺言が記載されている場合、民法において遺言は、2人以上の者が同一の証書を作成することはできないと定められており、共同遺言の禁止にあたるのでその遺言は無効となります。

ここでは、お子様のいないご夫婦が遺言を残さなかった際に起こりうる問題点について例を挙げご説明します。

法定相続人：配偶者である妻、夫の両親
法定相続分：妻が遺産の２/３、
両親が１/３（夫の両親が二人でも一人同じ）
遺言書：なし

もし夫の両親が認知症の場合、成年後見の申し立てをし、後見人を立ててから諸々の相続手続きを行います。

被相続人の相続財産が現在妻の住む自宅である不動産だけであった場合、法定相続分どおりに分けるには不動産を売却し、現金に替えてから分配する必要があります。そうなると妻は自宅を売却し、引っ越さなければならなくなる可能性があります。

法定相続人：配偶者である妻、夫の兄弟
法定相続分：妻が遺産の３/４、
夫兄弟が１/４（夫の兄弟が何人いても同じ）
遺言書：なし

先ほどの例１と同じく、妻と夫の兄弟（もしくはその配偶者）と法定相続分どおりに分ける場合、自宅を売却して現金化しなければならない可能性があります。

例１と同様に、法定相続人が認知症等で判断力が欠けているとみなされる状態で作成された遺産分割協議書は法的効力が発生しませんので、先に成年後見の申し立てを行います。